プロット図とは?施工図との違い、種類、作成時の注意点などを解説
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プロット図とは?
プロット図とは、結論「建築・電気・空調・衛生の情報全てが記載された図面のこと」です。
基本的に、図面は目的別に分けて作図されます。電気の図面ならば電気の図面、空調の図面なら空調の図面、衛生の図面なら衛生の図面を1枚の図面として書きます。もう少し細かく言及すると、電気の図面の中でも、、、
- 照明器具の図面
- コンセントの図面
- 自動火災報知設備の図面
- サイネージ(電子黒板)の図面
- 避雷針の図面
- 幹線設備の図面
それぞれに分けて図面を作図したりします。
ただ、電気空調衛生それぞれが別々で図面を作図すると、現実的に施工不可能な図面になってしまう可能性があります。
例えば、電気の照明器具と空調の制気口を同じ位置に配置してしまっている場合、現場では施工できなくなってしまいます。それぞれ別々で図面を書いていると、こういったことが分かりません。「施工できない」ということがないように、あらかじめ位置の取り合いをする必要があります。
そこで作成する必要があるのが「プロット図」つまりは総合図ということです。
総合図は電気・空調・衛生全ての情報が乗っかってくるので、施工できない部分やぶつかっている図面が一目瞭然になります。プロット図を見ながら、各業者同士で打合せを行っていきます。
プロット図と施工図との違い
プロット図と施工図の違いは、結論「図面の目的」です。
プロット図面は各業者の取り合い(同じ位置でぶつからないようにする)のに対し、施工図は現場で職人さんが施工するための図面になります。プロット図は各業者の情報が入ってくるので、複雑な図面になります。対して、施工図はなるべく見やすく図面を書いていきます。
例えば、コンセントを取付ける為の施工図について考えてみましょう。
コンセントを施工するためには、、、、
- どれくらいの高さに取付けられるのか?
- 壁からどれくらいの距離に取付けるのか?
- どの種類のコンセントを取付けるのか?
- 配線はどこから持ってくるのか?
といった情報が必要になってきます。この施工図を書く上で、空調設備や衛生設備の情報は必要ありません。もし、コンセントの施工図に他の情報が入ってくると、明らかに邪魔です。職人さんに見せたら「なんだこの見にくい図面は!」と怒鳴られることでしょう。
プロット図はあくまで取り合いをするための図面であり、施工図とは全く異なるものになります。
プロット図の種類
- 床プロット図
- 天井プロット図
ざっくりした表現になってしまいますが、プロット図には上記の2種類のものあります。
プロット図の目的は取り合いです。天井でも、床においても取り合いが必要になってきますので、種類としては3種類です。とはいえ、設備工事においては「天井プロット図」がメインのプロット図として指されることが多いです。
電気の照明器具が取付けられるのも、感知器が取付けられるのも、非常灯が取付けられるのも、空調の制気口が取付けられるのも天井ですよね。よって、プロット図の大部分を占めるのが天井プロット図になるということです。
もちろん、床のプロット図も存在します。
衛生の図面(例えばトイレの配管など)は床下になります。また電気の配線・配管を通す場合も床下に配管を通す可能性があります。とはいえ、天井プロット図面よりかは複雑にはなりません。
プロット図を作成する際の注意点
プロット図作成の注意点①建築図が最新であることを確認する
新築工事において、建築図面が変わることはざらにあります。むしろ最初に出てきた建築図で最後までいくことのほうが稀です。具体的に言えば、1週間ほどで変わることもあります。
建築図が変わるということは、それに伴って電気・空調・衛生の図面も変わるということです。つまりは最新の建築図で検討しなければ意味がないということです。
設備工事業者目線でいくと、建築から送られてきた建築図を入れ込む必要があります。
例えば、建築側がAutoCADで設備側がTfasの場合はよくあることかと思います。AutoCADで送られてきたDWGデータをTfasに変換して、建築図のシートを作ります。多くの場合は「建築図_20240401」とか「建築図_20240415」といった形で名前をつけますが、表示されているものが最新であることを確認する必要があるでしょう。
個人的に、過去の建築図のシートは消す方がよいと思います。(過去のDWGから持ってこれますし、シートが多すぎてごちゃごちゃしてくるので)
プロット図作成の注意点②電気設備を優先して取り合いをする
建物を作っていく上で、意匠の部分はかなり重要になってきます。
電気空調衛生の中で最も意匠に影響を与えるのは電気です。よって、照明器具の位置を優先して取り合いを行う必要があります。とはいえ空調工事でも法律上の規定があったりしますし、施工上問題がある場合もあります。
電気設備業者、空調設備業者、意匠設計の方や電気設計の人達と打合せをしながらプロット図を完成させていく必要があります。
プロット図作成の注意点③縮尺・基準点を合わせる
当たり前ですが、縮尺を合わせなければ図面サイズが適合しませんので、おかしなことになります。
また、基準点がずれると悲惨なことになります。せっかく打合せをした取り合いが無意味になってしまいますので、プロット図を作成する際には注意しましょう。
プロット図作成の注意点④他設備の図面はいじらない
例えば、自身が電気設備の工事業者の場合、空調や衛生の図面はいじらないようにしましょう。
とりまとめはどこがやるのか?によりますが、基本的に自社以外の図面をいじってしまうと、取り合いの打合せが無意味になりますので、注意しましょう。
プロット図に関する情報のまとめ
- プロット図とは:建築・電気・空調・衛生の情報全てが記載された図面のこと
- 施工図との違い:図面の目的(プロット図→取り合いの為、施工図→現場施工の為)
- プロット図の種類:天井プロット図、床プロット図
- 作成時の注意点:建築図を最新にする、意匠優先、縮尺・基準点を合わせる、他設備はいじらない
以上がプロット図に関する情報のまとめです。
新築の図面において必ず作成するのがプロット図になります。施主・設計者・施工者で打合せを行いながら、プロット図を作っていきます。プロット図が決まれば、それを施工図に落とし、現場での施工に入っていきます。
現場で非常に重要になってきますので、正しく理解しておきましょう。
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水野源太
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株式会社レバキャリ 1級電気工事施工管理技士
静岡県出身。新卒で大手総合設備会社に施工管理として就職し、大型現場の再開発工事を経験。その後、建設人材派遣会社へと移り、複数現場で施工管理としての経験を積む。1級電気工事施工管理技士に合格したのを機に、同社の本社へと出向。研修講師としてTfas研修・AutoCAD研修・専門知識を付与する研修・コミュニケーション研修等を担当し、1000人以上に対する研修を実施。副業では月間10万人が見る教育系テックメディアの立上げ、SEOの実行支援、ランディングページの制作を経験。2024年4月に株式会社レバキャリにジョインし、「建設業で長く働く人を一人でも増やす」為に研修やフォロー、マーケティング業務に従事。