コンクリートのコア抜きとは?施工手順、単価、構造への影響など
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コア抜きとは?
コア抜きとは、結論「コンクリートが固まった後に穴をあけること」です。
設備の配管を通す時を考えてみましょう。配管は横移動だけではなく、縦に通ったりします。縦に通るということはコンクリートを貫通して配管をしたりする訳ですが、コンクリートを貫通するには配管が通る用の「穴」が必要になりますよね。
その「穴」を作るため、コンクリート打設前に「スリーブ」だったり「ボイド」だったり「貫通枠」と呼ばれるような部材をあらかじめ仕込んでおきます。
ただ、コンクリート打設後の設計変更であったり、施工のし忘れなどがあると、後から穴を作らなければならなくなります。そこで必要になってくるのが【コア抜き】です。
コア抜きはコンクリートに穴をあけることですので、穴を作り、そこに配管を通すことができます。
コア抜き工事の施工手順
コア抜きの施工手順に関しては現場によって異なるというのが大前提です。
あくまで一例として参考にしてみてください。
コア抜きの手順①X線による調査
まずはコア抜き前にX線で調査を行います。
穴を空ける部分に既存の配管がある状態で穴をあけてしまうと、配管にも穴をあけてしまいます。そうすると既存の設備に影響を与えてしまうので、穴をあける部分に既存設備がないことを確認します。
X線というのは、レントゲンみたいなイメージです。レントゲンを撮り、これから穴を空ける部分に既存設備が入っていないことを確認してから作業を開始します。
コア抜きの手順②養生を行う
コア抜きに入る前に養生を行います。養生なしにコア抜きをしてしまうと、作業をする上で発生する粉塵や水がそこらじゅうに飛び散ってしまいます。
そのようなことがないように養生を行ってから、コア抜きの作業を行います。
コア抜きの手順③位置出し
次はコア抜きをするために位置出しを行います。
ペンや墨を使って「この場所にこれくらいの穴を空ける!」といった位置出しを行います。位置を明確にしてからでなければ機械を設置したりすることができません。なんとなく、ではなく、明確に位置を出します。
- 壁から何ミリの位置に穴を空けるか?
- 床から何ミリの位置に穴を空けるか?
- どれくらいの大きさの穴を空けるか?
- アンカーはどの位置に打つのか?
といったことをミリ単位で図面を確認しながら打設していきます。
コア抜きの手順④アンカー打設
コア抜きをするには穴を空ける部分に機械を固定しなければなりません。
機械を固定するために、まずはアンカーを打設します。アンカーは「メス」になっていますので、そこに「オス」であるボルトを挿入します。ボルトにコア抜きの機械を固定することで、準備を整える必要があります。
ちなみに、アンカーを打設する際にも粉塵が発生しますので、周囲が汚れてしまいます。そのための養生でもあります。
コア抜きの手順⑤コア抜き
位置出しを行い、アンカーに機械を固定したら、コア抜きを行っていきます。
コア抜きにはいくつかやり方がありますが、大枠でいくと「乾式と湿式」のものがあります。湿式の場合は水養生をしながらコア抜きを進めていきます。
コア抜きの単価
コア抜きの単価は下記の様な要因によって変化します。
- 穴を空ける大きさ(何ファイの穴を空けるか)
- コンクリートの厚み
- 養生の範囲(通常の養生や水養生)
- 日中作業か?夜間作業か?
- 平日作業か?休日作業か?
- X線による調査を必要とするか?しないか?
- X線による調査を複数回やる必要があるか?
明確な見積もりが欲しければ工事業者に対して見積りを取る必要があります。各会社毎によく使う業者があると思いますので、そこに問い合わせましょう。
もしざっくりでも単価を知りたい場合は、施工する部分の大きさや写真などを送り、概算でも数字を出してもらうとよいでしょう。
コア抜きが構造に与える影響
コア抜きは建築の構造物に悪い影響を与えます。
本来スリーブやボイドを入れる際は、その周辺を鉄筋で補強します。本来は鉄筋がある部分に穴があいていて鉄筋がない訳ですから、その分を補強するのは当たり前ではあります。ただコア抜きをする場合は既にコンクリートが打設されてしまっています。後から鉄筋を入れることができません。
本来あるはずの部分に鉄筋がなく、かつ、補強筋もない状態ですから、コア抜きをした部分は建物の構造上弱くなります。ある程度、構造設計としては余裕を持たせて設計しているので、1ヵ所コア抜きをしたところで大きな影響はないかもしれません。ただ、それが積み重なると、建物の構造に大きな影響を与えます。
大型現場でゼネコンの許可を取らず、サブコンが勝手にコア抜きをしまくって、建物の躯体全体が立て直しになった、、、、といった事例があるくらいです。
コア抜きは建物の構造に大きな悪影響を与えます。コア抜きをする際は構造設計に問題がないか?を確認することが大事ですし、そもそもコア抜きをする必要がないように工事を進めていくことが大事です。
コア抜きに関する情報まとめ
- コア抜きとは:コンクリートが固まった後に穴をあけること
- コア抜きの手順:X線→養生→位置出し→アンカー打設→コア抜き
- コア抜きの単価:径、コンクリートの厚み、作業状況、X線によって変化する
- コア抜きが構造に与える影響:大きな悪影響を与える
以上がコア抜きに関する情報のまとめです。
RC造の現場ではコア抜きを発生することがあるかと思います。特に改修工事なんかではよく出てくると思いますし、道路舗装をする際にも行われたりします。
正しい情報を身に着け、施工管理としての力を高め、キャリアアップへと繋げていきましょう!
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水野源太
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株式会社レバキャリ 1級電気工事施工管理技士
静岡県出身。新卒で大手総合設備会社に施工管理として就職し、大型現場の再開発工事を経験。その後、建設人材派遣会社へと移り、複数現場で施工管理としての経験を積む。1級電気工事施工管理技士に合格したのを機に、同社の本社へと出向。研修講師としてTfas研修・AutoCAD研修・専門知識を付与する研修・コミュニケーション研修等を担当し、1000人以上に対する研修を実施。副業では月間10万人が見る教育系テックメディアの立上げ、SEOの実行支援、ランディングページの制作を経験。2024年4月に株式会社レバキャリにジョインし、「建設業で長く働く人を一人でも増やす」為に研修やフォロー、マーケティング業務に従事。